公開日 2025年7月30日
普通選挙制の実現 ※令和4年1月掲載
普通選挙(かつて、general suffrageを「普通選挙」と訳したようです。suffrageは参政権・選挙権の意味。なお、現在ではuniversal suffrageと言われているようです。)という言葉を意識する機会は、そう多くないかもしれません。
日本での「普通選挙制の実現」とは、一般的には大正14年に普通選挙法が制定(正確には「衆議院議員選挙法」が改正)されたことを指すものと思いますが、その翌年には市制・町村制や府県制も改正されたことで、村会(町会・市会・府県会)議員についても普通選挙制が導入されました。(つまり、衆議院議員の選挙に関する法律と、地方議会議員の選挙に関する法律が分かれていたことになります。)
大正14年における衆議院議員選挙法の改正の主な内容は、「選挙人資格から納税要件が撤廃された」というものであり、逆に言えばそれまでは税額(直接国税3円以上)が選挙資格になっていた(政治能力の条件になっていた)ということですので、大きな改正であったものと思われます。(市制・町村制における納税要件については、細かく言うと、大正10年改正時に「直接市町村税納税者」に変わり、大正15年改正時にそれが撤廃されました。)
なお、この時点での普通選挙は、あくまで「男子」普通選挙に過ぎませんでした。女性を含めた普通選挙の実施は、結果的には戦後になりましたが、すでにこの時点においても女性参政権(当時の言葉では婦人参政権)を求める気運はあったようです。
村会(町会)議員について普通選挙制が導入された大正15年の町村制改正、そして納税要件が「直接市町村税納税者」となって公民権が拡張された大正10年改正に関する説明が記述編Ⅰにありますので、ここでその一部を紹介します。
町村制の「大正15年改正(普通選挙制の導入)」と「大正10年改正(公民権の拡張)」[DOCX:37.5KB]